日本ヴァイオリン

Hannibal Fagnola 1926

H. ファニオラ 1926年製

1906年、ファニオラはミラノとジェノヴァにおける展示会をきっかけに世界に広く認知されることになります。
20世紀のヴァイオリンメーカーのなかで優れたアシスタントを雇い安定的に精度の高い作品を世に出し商業的にも成功を収めた数少ない作家として知られています。
グァダニーニ、プレッセンダ、オドーネ、ロッカといったピエモンテの名工の技術をすべて取り入れて独自スタイル開花させ、1920年代に生涯で最も優れた作品を数多く残しました。

その黄金期只中の1926年におけるこの作品は彼が最も得意としたプレッセンダ・コピーで、その内部にはファニオラ、プレッセンダ両方のラベルが貼られています。そして低音側のアッパーバウツの側板の内側には、表板を閉じる前に書かれたであろうファニオラ自身のサインがあります。ファニオラは通常、自身の作品に対しての習慣として、常に同じ所にサインと製作年を手で記していました。

修復歴はなく、ほぼ未使用と言ってよい素晴らしい保存状態で、潔いウッドワークによるなだらかなアーチに、独自の鮮やかな透き通ったニスを纏っています。
その音は太く華やかな音色が密度を保ちながら広い空間を埋める力強さがあり、ソリストにも相応しい多くの発展性をも秘めた作品です。

製作地
イタリア トリノ
カテゴリ
モダン