日本ヴァイオリン

Hannibal Fagnola 1925
“ex-Taro Hakase”

H. ファニオラ 1925年製"ex- Taro Hakase”

グァダニーニ、プレッセンダ、ロッカといったトリノの名工達の伝統を受け継ぎ、その礎の上に独自のスタイルを昇華させた20世紀トリノを代表する製作家アンニバル・ファニオラ。

1900年代初め、ファニオラはトリノのロッカ、オドーネの作品からインスピレーションを受け、製作上の様々な試みを行いました。
その挑戦期を経た後の1911年、トリノの博覧会に出品されたヴァイオリン2挺、ヴィオラ、チェロのカルテット作品が金賞を受賞したことを皮切りに、ロンドンのヒル商会を通じて世界中に高く評価されることになります。
ファニオラの黄金期と呼ばれる時期で、ゲラ、リッカルド・ジェノベーゼ、甥のアンニバロットといった優れたアシスタントを雇い入れ、着実に量産体制を整えた時期でもあります。
その黄金期のただ中における1925年製のこの作品は、ファニオラが若い頃より研究を重ね、最も得意とした1835年製のプレッセンダのモデルによるもので、ファニオラの精緻な息遣いを感じさせるパフリングと、切れ味のいいf字孔に柔らかいライト・オレンジのニスを纏っています。
その音はきらびやかで華やかな音色に芯のあるパワフルな実力を兼ね備えています。
近年では ヴァイオリニスト・葉加瀬太郎さんに愛用され、数々のコンサートに使用されてきました。

製作地
イタリア トリノ
カテゴリ
モダン