日本ヴァイオリン

Giovanni Francesco Pressenda 1835

1835年製ジョヴァンニ・フランチェスコ・プレッセンダ

ジョヴァンニ・フランチェスコ・プレッセンダは、19世紀前半トリノ派を代表するヴァイオリン製作家であり、近代イタリア製作の発展に大きく寄与しました。彼はピエモンテ地方クネオに生まれ、木工の基礎を持ちながら比較的遅い時期に楽器製作へ転じ、トリノに工房を構えます。当時のトリノは音楽文化の中心の一つで、プレッセンダは独自のスタイルを築き上げました。彼の工房には多くの弟子や協力者が集まり、その中からジュゼッペ・ロッカ、ピエール・パシュレルのような名工が育ちました。
こうして彼の活動はトリノ派の基盤を確立し、イタリア近代製作の重要な流れを生み出しました。今日、プレッセンダの楽器はガダニーニやロッカと並ぶ高い市場価値を持ち、実演においても実用性が際立つ存在です。力強さと豊かな音色を兼ね備えたそのヴァイオリンは、ストラディヴァリウスやグァルネリウスに次ぐ選択肢として演奏家に愛されています。
1835年製のこのヴァイオリンは、極めて保存状態がよく、オリジナルのニスがほぼ当時のままに現存しています。ストラディヴァリ型を基本としながらも、力強い輪郭と低めのアーチを特徴とし、開放的なf字孔や透明感のある赤褐色のニスが印象的です。音色は華やかで力強く、特に大ホールでの響きや投射力に優れ、ソリストや室内楽奏者にも今日まで高く評価されています。

製作地
イタリア トリノ
カテゴリ
オールド