Carlo Giuseppe Testore 1690
1690年製カルロ・ジュゼッペ・テストーレ
テストーレの一族は、イタリアのヴァイオリン製作史の中でも重要な一派であり、カルロ・ジュゼッペはその創始者です。
カルロ・ジュゼッペ・テストーレは1665年ごろイタリア・ピエモンテ州北東部のノヴァラに生まれ、1687年にミラノへ渡り、ジョヴァンニ・グランチーノに師事した後、ミラノのコントラーダ・ラルガという大通り沿いに工房を構えました。
ラベルに記載されている「al segno dell’Aquila(鷲の印の下にて)」は、彼の店の看板が鷲であったことを示しています。二人の息子、カルロ・アントニオ(1688年 - 1764年以降)とパオロ・アントニオ(1690年 - 1760年以降)も父の弟子であり、ミラノで弦楽器製作者として活躍しました。その後カルロの息子ジョヴァンニとパオロの息子ジェンナロも1760年代にミラノで工房を継承しました。
テストーレ・ファミリーの作風は音響性能を重視した力強く実用性の高い作りで知られ、多くの演奏家達に愛用されてきました。
1690年、テストーレがミラノに工房を構えて間もない時期に製作されたのこの楽器は、クレモナのニコロ・アマティの影響が色濃く見受けられ、繊細な洗練された外観をもっています。その音色は深くパワフルでありながら、大ホールにおいて抜けがよく速達性を備えています。