日本ヴァイオリン

Domenico Pasta c1700

ドミニコ・パスタ 1700年頃製作

ドミニコ・パスタ(Domenico Pasta)は、18世紀前半にイタリア、ブレシアで活動していたヴァイオリン製作家です。
彼はミラノ出身で、父バルトロメオ・パスタ(Bartolomeo Pasta)のもとに三男として生まれました。
バルトロメオはクレモナの名工 ニコロ・アマティの工房で働いていました。その後バルトロメオはミラノに移ってジョヴァンニ・グランチーノやテストーレ一家と同時代に活動しました。実際に1670年代にはミラノでテストーレ一家と同じ建物に住んでいた記録が残っています。
こうしてクレモナ流派とミラノ流派の2つが息子であるドミニコに受け継がれる事になります。

ドミニコは兄ガエターノ・パスタ(Gaetano Pasta)とともにブレシアに移り、1694年頃から「アッラ・パッラーダ(Alla Pallada)」という工房を構え弦楽器製作者として生計を立てていました。
彼の作品は、ガスパロ・ダ・サロやロジェリなどのブレシア派の影響も受けクレモナ、ミラノ、ブレシアの製作スタイルを融合させた独自の魅力を持っており、ドミニコは最晩年までブレシアで活動し、1765年前後に生涯を閉じたとみられています。
現存する作品は非常に少なく、彼自身についても謎が多いためイタリアン・オールド楽器の中でも特に興味深い存在です。

今回ご紹介する作品はブレシア派の巨匠パオロ・マッジーニのスタイルを模倣したもので、二重の装飾線(ダブルパフリング)、赤みがかった美しい茶色のニス、そして古楽器を思わせる無骨なスクロールを特徴としています。その音色は奥深く、力強さも兼ね備えた、大変魅力的な作品です。

製作地
イタリア ブレシア
カテゴリ
オールド