Lorenzo Ventapane ca1825
ロレンツォ・ヴェンタパネ 1825年製
19世紀初頭製作のロレンツォ・ヴェンタパネのヴァイオリンをご紹介いたします。ガリアーノ・ファミリーと並び称され、ナポリ・スクールを代表するロレンツォ・ヴェンタパネ。ジョバンニ・ガリアーノの弟子であったとも言われており、その製作手法からはガリアーノ・ファミリーの影響が多く見受けられます。パフリングの黒いラインの材として用いられた紙や、平行に近くカットされたf字孔などはその最たるものです。19世紀初頭に製作されたこの楽器は、当時のガリアーノ・ファミリーに多く見受けられる若干緑がかった色調のニスとは異なり、反射の極めて美しいゴールデンブラウンの下地に柔らかなレッドブラウンのニスを纏っています。なだらかなアーチより紡ぎだされるパワフルな音量に加え、深く奥行きのあるその音色は大ホールにおけるソリストの要求を満たし得る逸品と言えるでしょう。