現存するストラディヴァリウスは約600挺と言われている中で最もユニークな作品の一つである。
ヴァイオリンのサイドには”GLORIA ET DIVITIE”という文字の痕跡があり、バスバーサイドには、“IN DOMO EIUS”というはっきりとした文字が残っている。
このフレーズは旧約聖書の詩篇第111章第3節から引用されたもので、元のテキストはラテンで語で「Gloria et divitiae in domo eius et iustitia eius manet in saeculum saeculi」(栄光と富は神の家にあり、神の裁きは永遠である)とある。簡略化した抜粋が「Gloria et divitiae in domo eius」(栄光と富は神の家にある)であり、ルネッサンス期の人々は繁栄と富を願ってこの言葉を様々な形で絵画や彫刻に入れていた。
Antonio Stradivari 1718 "SAN LORENZO Ex Viotti”はそんな願いを込めてストラディヴァリウス本人が書いたものであり、その言葉の通り、他のストラディヴァリウスの作品にはない思いが込められていると考えられる。

また、19世紀初期に所有していた人物の記録もある。
ベッツのメモによると、フランツィ、J.Nデュラン、ベッツ自身、ヴィオッティ、ケアリー、エスクワイアである。デュランは19世紀初期のコジオ伯爵のメモに、ストラディヴァリやガルネリのヴァイオリンをミラノで積極的に購入していた人物として何度も登場する。
巨匠ヴィオッティについても同様のことが言える。ヴィオッティはヴァイオリンの売り手及び買い手としてイギリス、フランス、イタリアをまたいで活躍していた。
SAN LORENZOはヴィオッティが最も愛用していた楽器の一つである。